フランスプロヴァンス地方・コルシカ島のワイン解説
本日はフランスプロヴァンス地方・コルシカ島のワインについて解説おこなっていきます。
プロヴァンス地方は、フランス南東部に位置し、ローヌ川の左岸から東はニースまでの一帯に広がるフランス最大のロゼワインの産地で、地元の人たちはロゼワインを日常的に飲んでいます。
コルシカ島は、地中海に浮かぶフランス領の島で、シチリア島、サルデーニャ島、キプロス島に次ぎ、地中海で4番目に大きい島です。ナポレオンの生誕地として有名で、コルシカはイタリア語の発音で、フランス語ではコルスと発音します。
試験対策としては、ブドウ品種の別名や、主要A.O.C.の生産可能色を抑えていきましょう!
プロヴァンス地方の概要
地理と歴史
プロヴァンス地方は、フランス南東部に位置し、ローヌ川の左岸から東はニースまでの一帯に広がるフランス最大のロゼワインの産地です。紀元前600年ごろからというフランス最古のブドウ栽培、ワイン醸造の歴史をもちます。最初にブドウ栽培が伝わったとされるマルセイユは、フランス最大の港湾都市で、約85万人の人口はパリに次ぐ第2位の大都市です。
気候と特徴
乾燥した温暖な地中海性気候のおかげで、カビ病も少なくブドウ栽培に適しています。またロゼワインの生産量が89%を占めており、フランス最大のロゼワインの産地です。
プロヴァンス地方の主要ブドウ品種
白ブドウ品種
ロール(=ヴェルメンティーノ、マルヴォワジ・ド・コルス)、ユニ・ブラン、クレレット、ブールブーラン、グルナッシュ・ブラン
黒ブドウ品種
シラー、グルナッシュ、サンソー、ティブラン(プロヴァンス地方の土着品種)、ムールヴェードル、カリニャン、クーノワーズ
ロール(白ブドウ)の特徴
古くからこの地で栽培されている品種で、イタリアではヴェルメンティーノ、コルシカ島ではマルヴォワジ・ド・コルスという別名があります。華やかな香りでフレッシュな味わいの白ワインが造られます。
ティブラン(黒ブドウ)の特徴
プロヴァンス地方の土着品種で、香り高く、エレガントな赤ワインが造られます。基本的には他の品種とブレンドして使用されます。
プロヴァンス地方の主なA.O.C
❶コート・ド・プロヴァンス
プロヴァンス地方最大のA.O.C
❷サント・ヴィクトワール
赤・ロゼのみの生産が可能
❸フレジュス
赤・ロゼのみの生産が可能
❹ラ・ロンド
2016年より白ワインも認可
❺ピエールフー
赤・ロゼのみの生産が可能
❻ノートル・ダム・デ・ザンジュ
赤・ロゼのみの生産が可能
❼コトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンス
プロヴァンスの特徴的なA.O.C
❽コトー・デクサン・プロヴァンス
プロヴァンスの特徴的なA.O.C
❾レ・ボー・ド・プロヴァンス
プロヴァンスの特徴的なA.O.C
❿バンドール
1941年にA.O.C取得
⓫カシス
1936年最初に認定されたA.O.C
⓬バレット
プロヴァンスの特徴的なA.O.C
⓭ベレ
1941年にA.O.C取得
⓮ピエールヴェール
プロヴァンスの特徴的なA.O.C
プロヴァンス地方の主要A.O.Cの特徴
コート・ド・プロヴァンス
プロヴァンス地方最大のA.O.C.で約20,000ha、年間生産量92万4000hℓを誇り、その内ロゼワインが89%を占めています。
サブリージョン
サント・ヴィクトワール、ピエールフー、フレジュス、ノートル・ダム・デ・ザンジュは、赤・ロゼのみの生産が可能です。また、コート・ド・プロヴァンスのサブリージョンとして付記することが認められています。ラ・ロンドもコート・ド・プロヴァンスのサブリージョンとして付記することが認められています。他のサブリージョンが赤・ロゼのみなのに対し、ラ・ロンドは2016年の7月19日の政令より白も認められています。
カシス
ソーテルヌ、シャトー・ヌフ・デュ・パプとともに、1936年最初に認定されたA.O.C.です。マルセイユの東に位置し、地中海に面したカシスの町のみに認められています。白ワインの生産が全体67%を占め、ロゼが30%、赤が3%と、生産可能色はそれぞれが認められていますが、白ワインの比率が高いことが特徴です。
バンドールとベレ
1941年にいずれも小さな産地ですが、この地の生産者の尽力によってA.O.C.を取得しています。
コルシカ島の概要
地理的特徴
コルシカ島は、地中海に浮かぶフランス領の島で、シチリア島、サルデーニャ島、キプロス島に次ぎ、地中海で4番目に大きい島です。
歴史的背景
ナポレオンの生誕地としても有名です。ピサやジェノヴァなどイタリアの都市国家に支配されていた時代が長く、イタリア文化の影響が今も残っています。
文化的特徴
その一方で、コルシカ島独自の文化も根強く、それはワインにも表れています。
コルシカ島のブドウ栽培とワイン醸造
歴史
ブドウ栽培・ワイン醸造の歴史は、プロヴァンス地方と同様に古く、紀元前600年頃から古代ギリシア人によって行われており、
主要品種
コルシカ島で多く栽培されているスキアカレロ、イタリア原産のニエルッチョから赤・ロゼワイン、ヴェルメンティーノから辛口白ワインが造られています。
白ブドウ品種
主要ブドウ品種は、白はヴェルメンティーノ(=マルヴォワジ・ド・コルス、ロール)
黒ブドウ品種
黒は、スキアカレロ、ニエルッチョ(=サンジョベーゼ)、バルバロッサ、グルナッシュ。ニエルッチョは、イタリアのサンジョベーゼと遺伝子レベルで同一のクローンです。ニエル(Niellu)はコルスの言葉で"黒い"を意味します。
コルシカ島の主なA.O.C
パトリモニオ
1968年コルス島で初のA.O.C認定
ミュスカ・デュ・カップ・コルス
ミュスカ100%のV.D.N
ヴァン・ド・コルス
コルシカ島の代表的A.O.C
アジャクシオ
ナポレオン生誕地として有名
ヴァン・ド・コルス・フィガリ
島の最南端に位置
コルス島の主なA.O.Cは、ヴァン・ド・コルス・コトー・デュ・カップ・コルス、パトリモニオ、ミュスカ・デュ・カップ・コルス、ヴァン・ド・コルス、アジャクシオ、ヴァン・ド・コルス・フィガリがあります。パトリモニオはニエルッチョ主体の赤・ロゼワインと、ヴェルメンティーノ100%の白ワインのA.O.Cです。1968年コルス島で初のA.O.C認定を受けました。
ミュスカ・デュ・カップ・コルスとV.D.N
ミュスカ・デュ・カップ・コルス
1997年に認められたミュスカ100%で造られるV.D.NのA.O.Cです。
V.D.N.の製法
V.D.N.(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)とは、ワインの醸造過程でアルコールを添加して、アルコール度数を高めたワインです。ブドウ果汁を発酵させている途中でアルコールを加えます。
発酵停止の仕組み
液中のアルコール分が一定量を超えると酵母が働かなくなり、アルコール発酵が止まるため、ブドウ果汁の甘味が残ります。
V.D.N.とV.D.L.の違い
V.D.N.に使用されるブドウ品種は、ミュスカ種とグルナッシュ種の2つに大きく分けられます。一方、V.D.L. (ヴァン・ドゥ・リキュール)は、まだ発酵させていないブドウ果汁にアルコールを加えてつくることをいいます。
アジャクシオとプロヴァンス地方のまとめ
1971
アジャクシオA.O.C認定年
皇帝ナポレオンの生誕地として有名でスキアカレロが多く栽培されています。
42%
フランスのロゼワインA.O.C比率
プロヴァンスのロゼワインはフランスのロゼワインA.O.C.の42%を占めています。
5%
世界消費ロゼワイン比率
プロヴァンスのロゼワインは世界で消費されるロゼワインの5%を占めています。
ヴァン・ド・コルス・フィガリは、島の最南端に位置しています。プロヴァンス地方は、地中海沿岸のマルセイユからニースまでの一帯に広がる、世界有数の高級リゾート地コートダジュールがあるフランス最古のワイン産地であり、フランス最大のロゼワインの生産地です。安価で気取らないスタイルのロゼワインは、フランスのロゼワインA.O.C.の42%、世界で消費されるロゼワインの5%を占めています。ロゼ以外にも太陽をいっぱいに浴びたブドウから造られる、果実味あふれるワインがとっても美味しいです。